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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

★吉見事務所通信 5月号★

松永貴志ニューヨークトリオのコンサートがありました。松永貴志は名前だけは知っていましたが、演奏を聴くのは初めてです。

【趣味 音楽 JAZZ】
 松永貴志ニューヨークトリオのコンサートがありました。松永貴志は名前だけは知っていましたが、演奏を聴くのは初めてです。松永貴志は15歳でプロデビューをし、20歳になったばかりの若手ピアニスト。テレビの「報道ステーション」テーマ曲の作曲者でもあるそうです。
今回は新作CDのキャンペーンツアー。演奏テクニックは素晴らしいのでしょうが、その良さが十分理解できない私は、開始早々の2~3曲が夢見心地で聴いておりました。ただしメンバーのベース(ウゴナ・オケグォ)とドラム(オティス・ブラウン)のテクニックは素晴らしいものがありました。ベースは早弾きであっても一音、一音しっかり正確に音を爪弾き、難度の高い演奏も普通の演奏の風情で驚きました。「もっと聴衆から拍手があってもいいのに・・・」と思っておりました。個人的にはロン・カーターのベースが好きで、一時随分レコードを買った事もありましたが、全く別のウッド・ベースの響きです。一方のドラムは、押さえた音量でありながら実に正確なリズミングと、一曲一曲の印象を変えての演奏、シンバル音の多様性を叩き分けていました。クラシックと全く異なる雰囲気の2時間、いい気分転換になりました。
 このようなコンサートでも、チケットの売れ行きが芳しくなかったようで、チケット販売代理店から半額の優待案内をいただき、それで出かけたのが今回でした。席は端の方でしたが前から3列目、演奏者の表情や楽器の扱いが良く見えて勉強になりました。プロは素人が追いつけないレベルで仕事をしなくてはいけないことも教えられました。

【趣味 舞台 狂言】
 今年はモーツアルト生誕250年ということで、モーツアルトの楽曲の演奏が非常に多い一年となりそうです。今回は「フィガロの結婚」を狂言で演ずるというものでした。音楽はオペラの楽曲そのものでしたが、日本の鼓が加わった所が特徴でしょうか。物語は歌ではなく狂言で演じられました。狂言を見るのは8年ぶりくらいです。(以前は能を一度見たくて、金沢の能楽堂に行ったときの狂言でした。)狂言を演ずるのは大蔵流狂言師の茂山一門、京都弁でのセリフです。奥方(伯爵夫人)役は人形が使用されました。NHKの人形劇「三国志」を担当されたグループによるものです。おおいに笑えました。鎌倉・室町時代に主要芸能となった狂言の、現在に伝わる「型」と、等身大の人間を描くさまは、今回の「フィガロの結婚」に遺憾なく発揮され、会場は楽しい笑いと暖かい拍手に包まれ、アンコールのメンデルスゾーンの結婚祝典序曲で終わりました。日本の芸能、芸術の素晴らしさを誇りたいですね。日本の個性をしっかり持ちつつ、西洋の芸術に対しても融合できる柔軟性を、大切に残していきたいものですね。
 これとは別に4月に行なわれた札幌交響楽団のコンサートでも、モーツァルトの曲が2曲演奏されました。一つは「クラリネット協奏曲イ長調」。CDも時折聴くのですが、ライブでは2度目でした。パンフレットには、「当時の名クラリネット奏者、アントン・シュタードラーのために、低音、中音、高音それぞれ音域に応じて音色が変わるクラリネットの特徴を最大限に生かし・・・」とありました。クラリネット奏者はベルリンフィルで活躍されたカール・ライスター氏。クラリネットという楽器の表現能力の発揮とオーケストラとの対話を紡ぎだす演奏で、静けさの中に心優しさを満喫させてくれた一時でした。「一生一芸」と言いますが、私達も何らかのプロとして仕事をしています。こだわるべきものには徹底的にこだわりたいものです。

【会社も人と同じ】
 会社も人同じというふうに考えてみませんか。そうすると会社も、病気になる、怪我をする、交通事故を起こす、人に迷惑をかけるという場面が想定できるのではないでしょうか。創造経営では、家庭と経営を対応させ、関連付けて見ていますので、「自分が変わると家庭が変わる。家庭が変わると職場が代わる。職場が変わると地域が変わる。」と表現しています。「生活」は「生命活動」です。生きる力(エネルギー)をパワーアップさせましょう!
 まず自分自身を知りましょう。長所を活かす、短所を改善する優先順位をつけましょう。自分の人格能力と職務能力を向上させることを当たり前としましょう。そして定期的に見直しをしましょう。会社ではシステムアップ、モラルアップという視点で見てください。社員個人の問題を経営問題としてとらえましょう。2月中旬の一泊二日の「自己発見セミナー(同友会苫小牧支部主催)」は、これらを目標に行ないました。是非次回の開催につなげたいものです。

【チームリーダー】
 あなたの会社では、部下のこと、仲間のことを考えられる人間を管理者にしていますか。上役である管理者が、自分の職業に対し、自信と誇りを持っていますか。トップは従業員に対し、自分の夢や社員への思いを発信していますか。自信、誇り、夢、思いが人を動かしていきます。
ただし中小企業とはいえ競争の中ですから、気持だけでは不充分ですね。気持の凝縮された「理念」を共有し、その上に職務能力(知識・技術力・経験)がアップされていくことが求められます。組織の中で仕事をしている人は、感情を持った人間です。管理者が、トップから細かく命令されて、嫌々やらされているという雰囲気で、つらそうに働いていては、その部署の部下は悲惨です。管理者は「よし、こういうことをやってやろう!」という気持で、自分の頭で考え、自分で判断し、トライする、失敗の試行錯誤もトップにきちんと報告しましょう。加えてリーダーは、明確な目標・指示を出し、部下にその気にさせる人間性を磨きましょう。部下の良い素質を引き出してください。

【問題意識】
 強い問題意識がないところには、何のひらめきも出てこないというのが、大脳生理学の研究結果だそうです。仕事ではいろいろなことが起きます。どんなことが起きても、その要素を直感的につかむ秘訣は、「なぜだろう?」「どうしてこうなるの?」「これからどうなるの?」というように、自ら疑問や興味を抱くことと教えています。強い問題意識があってはじめて“一を聞いて十を知る”ことができるのですね。新入社員や中堅社員を見てください。仕事の覚え方の早い人、遅い人、スキルアップが持続する人、ただ長く勤務している人、それらの差はこの問題意識の強さの差からきていると思いませんか。
 改善は現実的な各論から攻めてください。トップが、管理者が、社員が感じていることを日常の中で具体的にドンドン変えていきましょう。身近なことが変えられなくて、経営システムや戦略の転換なんてできるわけありません。

文化庁長官 河合 隼雄氏(日本掲載新聞「日本を磨く」2006.4.6より) 
 創造経営の創始者である、故薄衣佐吉先生が訴えていた内容と同じ趣旨のお話が載っておりましたので、紹介させていただきます。 「個人主義はキリスト教文化圏から出てきた。それには倫理が不可欠で、キリスト教の倫理が働いている限り、個人主義は利己主義にならない。日本では『イエ』を第一としてみんなでやっていこうという考え方が倫理の基底に会った。イエを取っ払った所に個人主義が広がったから、旧来の倫理などどこかへ行ってしまった」「日本の家庭教育はモノがないことを前提に、実にうまくできていた。背後にあったのは『もったいない』の一言で通じた。モノがなく貧しくても生きていくシステムができていた。豊かになりシステムが壊れた」「親が子供のちょっとした反論にさえ戸惑っている。何が善で何が悪かの規範が分からなくなってしまったから、大人として振舞えない。もはや個別の問題というより、日本全体として取組むべき大変大きな課題の一つだと思う」「生きていくことは、心の中に矛盾するものを抱えていることでもある。集団の中にあって他人お気持ちを察するといった古来の日本的特質もある。一方でグローバル化に対応して個人ががんばることも必要だ。そんな相反するような状況をどうやって調和させていくか。よほど真剣に考えていかないと、子供も育てられない」「モノが豊かになったほどに心は豊かになっていないのではないか。要するにバランスの問題だ。心を豊かにしていく場面での文化の果たす役割がある」「江戸時代にはあったはずのユーモア精神を少しは取り戻し、心豊かな暮らし方を考えなければいけない」「このままでは、日本の悪いところと個人主義の悪いところだけになって、日本は失敗するんではないか。」

【投資と投機】
「投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。」この文章はベンジャミン・グレアムの言葉だそうです。
 「投資」はプラスサムの世界です。プラスサムは中長期で成長があり、みんなが幸せになることが期待できるケースです。例えば、会社がどんどん成長するので、株価も上がり、その株を売った人は儲かります。高くなった株を買った人も、株を買った値段以上に株価が上がるので、みんながハッピーということが期待できるわけです。
 逆に「投機」は、売買に参加したうちの誰かが儲かれば、ほかの誰かが損をする(つまり、売買に参加している人の合計の損益がゼロ以下になる)ゼロサムの世界です。麻雀や競馬などのギャンブルなどはその典型です。
 ここであるお客様(企業経営者)のお話を紹介します。「頻繁に『投資』の勧誘の電話やセールスの訪問があるのだが、『1千万預けて50万円とか100万円円の利殖が得られますからいかがでしょうか。』というモノばかりだ。俺に言わせるなら、1千万のお金を5千万円、あるいは1億円の売上に転化させるのが本当の『企業経営の投資だ!』たった50万円や100万円のために1千万円の資金を寝かせられるか。金は生かさなければならない。」この発想、考え方が攻めに強い経営、成長を止めない経営につながっているのだと教えられました。
 例えば年商2億円で1千万円の経常利益の会社を見た場合、1億9千万円使って1千万円の利益を稼ぎ出したということです。乱暴に言うと、1億9千万円使って2億円を買っているとも言えます。企業経営の場面では、お金は使わなければ増えるというものではありません。固定費が毎日発生しますから、お金を使って、事業活動を持続して、お金を増やしていく循環再生産活動をしていくのが企業経営です。
会社を続ける限り(売上-利益)の分の金額を毎年使い続けるわけです。だから、何時、どこに、いくら使うがが非常に重要となります。支払ボリュームの高い科目は、仕入れ、外注、人件費、固定資産の取得費、地代家賃(リース料)ではないでしょうか。利益の出ない会社は、これらのお金の使い方を間違えているのではないかと考えて、買ったものの価値を見直ししましょう。売上を伸ばすために、お金の使い方のスキルを磨きましょう(買い物上手になろう)!

【アメリカ流・・・】
 新「会社法」が施行されました。従来の商法や有限会社法の一部改正ではなく、新しい法律です。対応は順調でしょうか。お客様を見ても、対応や認識に温度差がかなりあります。アメリカ流の資本主義要素が強くなっている印象を受けます。アメリカ流の資本主義は「株主資本主義」とも言われます。株価が高く、配当が多く、株主に対し説明責任を果たす会社が良い会社といえば分かり易いでしょうか。新「会社法」にもそのような流れが感じられます。
 それに対しヨーロッパの資本主義は、企業を取り巻く利害関係者(取引先・従業員・株主・地域社会・国家・地球環境等々)にバランスよく配慮していくのが良い経営と考えています。創造経営では「六種の利害関係人」と表現していますが、利害調整のバランス感覚を大事にしたいものです。私はヨーロッパ流に心惹かれます。

【雑感・・・】
l 最近の若い人は、自分が傷つくことを畏れ、仲間にもまれるより一人でいることを選択するのだろうか。対人干渉をせず、当り障りのない気楽な交友を好むのだろうか。それで世の中の人間関係を乗り越えていけるのだろうか。
l 寺島実郎さんが知研東京セミナーで次のように発言されていました。「団塊の世代の思想様式のキーワードは『経済主義』、悪く言うと『拝金主義』、それと『私生活主義』言い方を変えると『不干渉主義』(自分の生活空間を守って誰にも干渉されたくないし、したくもないという価値観)。・・・この価値観の人たちが子供達に発するメッセージは、『人様に迷惑をかけない限り、自分の好きにしていたら良いじゃないか』というもの。・・・民と官の間に『公』と言う概念がある。原始共産社会から今日の社会まで、誰かが公というところで汗をかかなかったら、社会システムなんて成り立たない。計算と打算だけで成り立っている世の中なんて仕切れるわけがない。」

 連載【赤字を黒字に 第9回】
Ⅱ 今後の収益構造を予測する
(1)これから損益がどうなるか予測して、何をするか決める! 
①我社はこれからどうなるのか我社の業績、損益がどのように動いていくのかによって、打つべき対策は当然違ってきます。次のどのケースがイメージされますか。この目的は、今後の予測により打つべき対策を決めることですから、予測は短時間に、概略で行って下さい。
(イ)今後売上が伸び、収益力が回復していく、(ロ)今後も現在の赤字がまだ続く、(ハ)赤字がさらに膨らみそう、(ニ)しばらく低迷はするけれど、その後は堅実な改善が見込まれる。 今後収益力が回復するのなら、無理をする必要はないでしょう。しかし急激に悪化すると見込まれる場合は、痛みは当たり前で、早急に対策を講じなければいけません。もし今行なっている対策が有効で、業績の改善につながるのなら、その対策を確実に成功させるようにベストを尽くしましょう。
②予測は悲観的に、行動は大胆に! 人間は自分のことは客観的に見えにくいものです。私には、赤字慣れしている経営者ほど楽観的に予測するという経験があります。何とか良くなりたい、現状から早く脱したいという願望がそうさせるのでしょう。確かに成功の法則を教える諸々の本では、「思った事は実現する」という表現が多く見られますが、赤字が止まらない企業では、単に思っただけで黒字に変わるものではありません。環境の変化は早く多様ですから、「どのように悪くなってもそれに対応する」という強い決意で対処するのが経営者の仕事です。ある意味悲観的に、マイナス要素も色々イメージして、我社に与える影響を考えてみましょう。そして一旦「これでやる!」と決めたら、「必ずできる!」と信じきって行なうことで成功します。 右肩下がりの業績悪化の事態では、金融機関にばら色の楽観対策を示した所で信用されないのが普通です。計数を用いて計画書に表し、毎月確実に実行されていることを示して、信用が得られ、資金が引き出せるのです。ですから計画は確実に、堅実に立案し、行動は汗を流し歯を食いしばり努力して、その結果が計画クリアとなって表れます。
(2)自社のトレンドを予測しましょう
①半年後、1年後をまず予測まず半年後の損益を予想します。続いて1年後も予想します。月別に詳細に積み重ねる必要はありません。次のどのトレンドに該当するか押さえます。
(イ)今後も今の停滞状況が続く、(ロ)しばらく停滞するもののその後は回復が見込まれる、(ハ)持続して低下傾向にある、(ニ)さらに急速に悪化する。
② 損益の状況と借入返済原資を確かめるために、下記の表を作成します。 科目 現状 半年後 1年後
損益 売上高
変動費
限界利益
限界利益率%
固定費
経常利益
資金 減価償却費
自己金融額
*自己金融額(簡便法)=経常利益+減価償却費③ 外部環境の変化が

 一つに絞りきれない場合は、予想されるケースに応じて、いくつかのパターンで予測してください。時折「そんな先のことは分かるわけはない」という経営者がいますが、本気でそう思っているのなら、赤字から抜け出すことは無理です。自分の業界、商売の流れが読めない経営者、読もうと努力しない経営者は、継続して経営をする資格はありません。

[ 更新:2006-05-01 16:06:29 ]

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