創造経営コンサルタント吉見 - head

経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信2007年7月号(44号)より

7月に入りましたね。カレンダーには、「カメはウサギにはなれないが、日本一のカメにはなれる」とあります。前向きに行きましょう。
すでにご案内済みですが、13日の札幌での創造経営セミナー、19日からの教室の申し込みも受付ております。皆様のお申し込みを、心からお待ち申し上げます。
【パネルディスカッション:スポーツで拓く、国際交流都市・苫小牧への道】【組織:新人のその後と指導先輩】【日本の芸能:落語】【正しい生き方、働き方】【組織:最近の学校事情】【コミュニケーション:言霊】

【パネルディスカッション:スポーツで拓く、国際交流都市・苫小牧への道】
 6月7日、お客様のお誘いでこのタイトルのパネルディスカッションに出かけました。主催は苫小牧青年会議所で、パネリストは橋本聖子参議院議員、街製作室㈱国分裕正代表取締役、王子製紙アイスホッケー部城野正樹監督でした。経営とは無関係と思えるテーマですが、同じ地域で同じ時代に生きていますので、課題も解決策もかなり共通するものと思いながら、3者の発言を聞いておりました。この場から経営にも通ずるものとして、私は次のように集約しましたのでお知らせします
一つのことに徹底し、その魅力を引き出すべし。
地域特性の中で自分らしさ、わが社らしさという主体性(アイデンティティ)を持つ。
ヒーローも相互互助も両方必要。そのベースはコミュニケーションと関わり、交わり。
熱意と仕掛け、自分が背負うという気概。
(パネリストの方3人とも道産子ではあるのですが、苫小牧市以外のお生まれでした。企業も同じですが、そこに生まれ育った人が深く関わって、その地域・企業をさらに発展させる流れを作って生きたいですね。)

【組織:新人のその後と指導先輩】
2007.6.1日本経済新聞 「私もひと言―我社の新入社員」より
「他人より仕事ができる」と公言するなど、自分を過信しているタイプと、命じられた仕事だけを渋々やるタイプに分かれる。前者は経験が不足しているのに思い込みが激しく、注意するとふてくされてしまう。後者は覇気がなく、早く帰りたがる。どちらも扱いづらい。(会社員36歳女性)
2人の新人が配属されたが、不慣れな者同士でなれ合って、先輩に電話対応の仕方を聞こうともしない。取引先からの問い合わせにまごついていたので、「どうして先輩に聞かないの?」と一喝しても、「怖いね」と二人でヒソヒソ話すだけ。上司が見かねて1人を配置換えした。(会社員女性)
大卒新人だけでなく、中途入社の新顔が数人入ってきた。現場を何年も経験した中途採用組みは、仕事ののみ込みが速く助かる。人を育てる余裕がなくなっている昨今、有能な人材の中途採用を増やして欲しい。(会社員49歳男性)
「どんな新人がくるか」と心配していたが杞憂だった。ハキハキと挨拶できるし、パソコンも使いこなし、英語も堪能。我々の世代が勝るのは経験と人脈ぐらい、との思いを強くしている。(会社員54歳男性)
新人が加入し3ヶ月が経過しますが、最近の様子はいかがですか。この記事の前3つは、私自身も経験しています。年次による同質性があると言いながら、個々の資質の差が大きい事を示していますね。企業側としては、また育成担当者としては個人別にしっかり特性を見て対応する必要がある事を教えてくれています。私の関わる企業でも、もうすでに2社で2人の新人が退職しています。期待をして、しっかり育成しようとしていたトップは少し落胆しながらも、「次はもっといい人材に巡り合える」と気持ちを切り返していました。
それでは、新人指導担当の先輩に対する注意点を見てみましょう。「今の説明で分かった?」と質問した経験はありませんか。ほとんどの答えは「分かりました」と返ってくるはずです。答えた後の仕事ぶりを見てください。新人も、後輩も分かった気になっている、分かったつもりになっていることが多いのではないでしょうか。時折、「分からないなら、分からないと言えよ・・・」と言う先輩や上司の声も聞こえますが、このような意見を大きな声で皆の前で言う先輩や上司の前では、たとえあまり良く分からないという自覚があっても、遠慮や保身の心理から「分かりません」とは言えないものです。これは私自身の経験にも重なります。
実務では、新人や後輩があやふやな理解のまま仕事を続けていると、先輩や上司の思惑からずれた結果となることが多々あります。そこからやり直しでは、時間も労力もかかり、残業の連続の時など疲労感がつのります。会計事務所勤務時代、このタイプの部下に泣かされた経験があります。一方有難い部下は、自分からメモを取り、自分から確認の復唱をしてくれました。この違いは大きいものです。作業効率も信頼感も全然違います。この元部下は転職されましたが、再就職先でも光る仕事ぶりでしっかり認められています。
まず後輩や新人の知識レベルを自分の目と耳で確認し、どの程度のレベルとスピードで仕事を進められるかイメージを持つ(めどを立てる)。それから相手のレベルにそって、仕事の内容を説明する。この場合、仕事の目的、理由、やり方(手順や方法)をしっかり伝えられるといいですね。今その仕事をする必要性は、全体の中での位置づけはどうなっているかが分かると、伸びたい人は前向きに意欲的に仕事に取組んでくれます。過去を振り返り、私が苦手な上司や先輩のタイプは、新人や後輩は「言われた事を、言われたとおりにまずやれば良い。理由も、その上のレベルも、能力と経験がないやつには不要!」と言う人でした。今と見ると、そのようなタイプの人は管理職にはなれても、幹部・経営者としては成功していないようです。
私は子供の頃、母親に「子は親の鏡」と言われ躾けられました。職場では「後輩は先輩の鏡」の場合もあります。後輩の働きぶりは先輩の働きぶり、それは経営者の姿勢の現れと思って気を引き締めて挑みましょう。

【日本の芸能:落語】
昨年の続き今年も落語に出かけました。食わず嫌いで落語を敬遠していましたが、恩師やお客様に落語をいいものとし、楽しまれる方があり、丁度1年前「桂南光・桂雀三郎ふたり会」に出かけ、芸の深さに驚き、今回もそのおふたりが来られるとのことで、楽しんで参りました。話芸の奥深さだけでなく扇子や手ぬぐいなど小道具の扱いには正直びっくりです。テレビでは感じられない迫力がありますよ。
仕事では人口減と行政の撤退の北海道において、企業が生き残る道を見出せずにおり、「日本らしさ」を取戻すといっても北海道の開拓が始まりわずか130年余りの歴史です。創造経営の家系調査の話をしても興味を持つ人は少ないのが現状ですが、落語の会場は小さいホールながらほぼ満席、年長の方が多いものの、上方落語を大笑いしながら堪能される姿には、日本人としての感性が受け継がれている事を感じさせます。落語が現在の形になり200年余り、持続・継続するにはそれなりの理由があります。そこもしっかり学んで行きたいですね。

【正しい生き方、働き方】
大正5年生まれの笹崎龍雄さんは次のように言われます。「今は親が子を殺す、子が親を殺すような世の中だけど、人間は感謝の気持ちを忘れることがあってはならない。人に感謝しない人は決して人に感謝されませんよ。」「二本の線が支えあって『人』と書くように、自分の人生というものは、自分を取り巻く人たちの支えによって生かされているんです。生かされて生きている。相手を叩くから自分が叩かれる。性格の悪い相手を直そうと思ったら、自分を直す。そうしたら相手はついてきます。」「働くとは普通、人が動くと書くでしょう。だけどこれからの時代、ただ力を出して働いていたらいいかというとそうではない。大切なのは考えて働くことです。『平和になって、こんなに贅沢をして遊んでいる国はないのだから、これからは考えて働け。人生という大道を考えて働くんだ。』と申し上げているんです。『正』という字は、そのつくりから分かりますように一(スタートライン、原点)に止まれという意味です。正しいことは一つであるはずですが、人によって、また受止め方によって意見の違いが生じることが少なくない。そんな時には、原点に立ち止って考えると、必ず正解が出てくると私は思っています。」「私はうちに就職した若い人たちに『会社のため、社会のためという前に、まず自分のために働きなさい。字を書いてごらん。人の為と書いて偽りと読むでしょう。』と申し上げているんです。『自分を磨いて、職場の中でいなくては困ると皆から言われるような存在になれたら、あなたは幸せになります。そうなったらお金と彼女は後ろからついてきます』と。従軍経験のお持ちの方の言葉は、重みがあります。(致知2007.3.対談「我ら命のある限り燃えて生きん」より抜粋)

【組織:最近の学校事情】
通学路評論家の池田もりちかさんからのお誘いで、平成19年5月19日に教職員向けの札幌市学級経営研究会 春の研修会に参加いたしました。講師は北海道新聞にもコラムを書かれている函館大学専任講師の金山健一先生で「温かな人間関係あふれる学級を目指して」というテーマでの講演とワークでした。過激な表現ですが、家庭崩壊-小学校の学級崩壊-中学校の学年崩壊の現実の中で悪戦苦闘される教職員の様子が生々しく語られておりました。今まだ小中学生と言っても、10年後には私たちの企業に入ってきます。
次にその時の講義内容から一部をお知らせします。今日本が危ないとして、引きこもり100万人、ニート85万人、フリーター400万人、不登校児18万人、警察に検挙・補導された少年犯罪16万人の計619万人という数字をあげられ、更に小中高の問題行動の現状として、いじめ2万件、高校の中退7万7千人(1年生に集中、環境適応できずに辞めいくという)、校内暴力3万4千件、対教師暴力5千件と説明されました。いただいた資料では、いじめの発生件数、加害児童生徒数、不登校件数も中学生の年代が郡を抜いて増えています。児童虐待の相談件数も増え続け、3万3千件を超え、親に生き方を教えなくてはいけない時代になっていると言うのです。給食費の滞納問題が起きる訳ですね。
教育の現場では、クラスが面白いと他者への攻撃性が低くなり、いじめが減るので、クラスを面白くする、集団の満足度を高めることに腐心されている様子を説明されていました。その中で、講師の金山先生の生徒指導法が企業の組織改善にも共通すると感じましたので、企業向けに表現を変えてお知らせします。
①同じ山に登る・・・経営者・管理者は仲良くし、同じ方向性を持つ。
②管理者は、ホームランバッターより3割バッターが多く、各自の個性が発揮できる環境にある。
③組織の力=経営者・管理者の力の総和×組織力・・・チームで課題を共有し、チームで克服する。
④全ての場で社員を支援・育成
⑤面接は上質な指導であるから、ハートをつかむ・納得させる(説得ではない)ことに務める。関係性を大事にしよう。

【コミュニケーション:言霊】
今年2月にお亡くなりになられた池田晶子さんの言葉に関する意見です。本願寺新報1月1日の特集記事(対談)から抜粋してご紹介させていただきます。この新聞記事が気になって、今も手元に置き続けて、「言葉は言霊」という教えを改めて思い出しています。
「この間、ケータイ電話の広告を見て、私は笑ってしまったのですけれど、『話し放題いくらいくら』と書いてある。話すほうがうんと得だというんです。それで話さなくてもいいようなことをどんどん話すようになる。そうすると、まさに言葉の価値が下落していって、その人自身が価値の安い人間になるってことに気がつかないんですよ。広告に踊らされて『たくさん話さなくちゃ』と、どうでもいいことを話すわけだから。でも、言葉というのは、やっぱり価値のあることを話すためのものです。」・・・「くだらない言葉を話す人がくだらない人間であるのは当たり前なことです。」・・・「その人そのものを表していることに気が付かないからみんなつまらないことを平気で言うようになってしまう。」・・・「内省することを知らないということは、問いがないということです。内省しないからおしゃべりばかりしている。空しいですね。」

[ 更新:2007-07-01 13:05:41 ]

その他の記事
記事のインデックスに戻る
ページのトップへ
創造経営コンサルタント吉見 - foot