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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 2008年4月号より(第53号)

【気づき:小さな親切】【反復練習】【経験と教育】【リーダーへ一言:管理職に期待されること】【多くの人が薦める生き方】

【気づき:小さな親切】
 気づきは大事といいます。私が事務所にしているマンションでの出来事ですが、車から荷物を下ろすのに時間がとられているうちに、隣の駐車場に車を止めて降りられた上の階にお住まいの奥様が、さわやかに挨拶をされて先に行かれました。少し遅れてエレベータの前に行くと、4階から1回にエレベータが下りてきました。先に利用された奥様が、エレベータを下げてくださったのです。また、今年の札幌は1月下旬以降雪がよく降りました。私が札幌にいるのは月のうち6割くらいです。駐車場には雪がさぞいっぱいだろうと思って、苫小牧から札幌に移動しますと、この上階にお住まいのご夫婦や管理人さんが、「運動不足で…」「車がない方が雪を除きやすいから…」と言って、私の駐車スペースを除雪して下さることが何度もありました。本当に有難く感謝しています。
 仕事でお客様の会社に訪問しますと、吹雪のときなど仕事が終わる頃を見計らって、車の雪をはらって下さる事務担当の方、わざわざ私と一緒に外に出られて雪落しを手伝って下さる経営者の方と、実に多くの親切に恵まれて仕事させていただいています。このような経営者、社員さんのいる企業は、苦しい時があってもそれを乗り越えて、利益体質を続けています。どんなに知識や理屈を分かったところで、経営の各現場で信頼関係の構築や業務の改善につながらなければ、本当の力にはならないものです。このような小さな親切が、いつも自然に態度に出る企業の気づく力、行動に表す力は大きな潜在力です。
 
【反復練習】
何かを習得するにはそれなりのトレーニングというか反復練習が必要です。新しいことに取組んで、最初はなかなか頭に入らないし、しばらくは上手にできないということは当り前のことです。プロとアマチュアの差は、素人が思う以上に大きいのです。例えば楽器演奏や車の運転しかり、簿記の仕訳の反応、決算書を眺めて経営分析が暗算で行われるなどいろいろあります。
繰返し行うことを練習、学問や技芸を習うことをお稽古と言いますが、ある動作を延々と反復することによって、その動作を習得して、無意識でその動作が自然にできるようになっていくものです。ですから物事には省いていいものと、省いてはいけないものがあります。何かを習得する時は、この反復動作、反復の過程は省いてはいけないものです。この地道な鍛錬の経験、ベースがあって、辛抱しながら厳しさに立ち向かっていけるのです。

【経験と教育】
 問題に直面した時、どのように対応しているでしょうか。現在自分が持っている知識と、これまでの経験を総動員し、自分が解決しなければいけない問題の状況に一番似ているものを探し出し、それを当てはめてはいないでしょうか。私は無意識にそのようにすることが多いと感じます。しかし問題が難しく、複雑になればなるほど、当てはめようとした事例と、実際の問題場面がぴったりマッチすることは少なくなります。そのようなとき、年齢を重ねた経験豊富な経営者は、自分のモデルを修正して、あるいは躊躇なく変更して、実際に対処していきます。しかし、私もそうでしたが、経験の少ない人、掘り下げの浅い人は、知識で得たモデルに現実を無理に合わせようとしますから、ひずみが出ます、ほころびが出ます。この差は問題解決においては、大きな差となって表れます。確かに知識は学ぶことでどんどん増えて行きます。学ぶ場は教育と言ってもいいでしょう。この知識と貴重な経験を融合させて智慧とする場や仕組み作りにこだわっていきましょう。知識と経験の調和が本当の強みとなります。
最近頻繁に聞く表現に、「自立した人間を育てる」がありますが、本当に教育で育てられるかどうかは、教育を受ける人の資質差が大きいと感じます。経営者は、自分の目で確認し、職務知識や常識を核として、無形の価値である顧客満足サービスを生み出す人を求めています。そのような経営者は、5年後、10年後に必要になるものを常に考えています、想像しています。当然その人らしい勉強もしています。なぜなら自然淘汰を一番激しくやっているのが企業であり、必要とされるものを妥当な値段で提供できなくなると倒産します。100年住宅を標榜した木の城たいせつも破綻しました。行政のスピードや金銭感覚、法律の改正や司法制度を見ても、民間意識とは大きなタイムラグがあります。遅いのです。経営者の感じる厳しさを、共に感じ、同じ方向を向き、一緒に歩む社員が一人二人と増えて欲しいと切に願います。経営者の願いを感じて自己研鑽に励む人、一緒に行動する人が増えて欲しいのです。

【リーダーへ一言:管理職に期待されること】
 お客様企業を訪問して思うことですが、トップは「仕事をこなす管理者」ではなく「人を使う管理者」に成長することを期待しています。日常の目の前のルーティンワークに埋没してしまうと、全体が見えません。体を使う作業であれば、一日が終わると心地よい疲労感で仕事した気分がいっぱいです。毎日このように淡々と仕事をこなし続けると、考えずに仕事をする習慣がつきます。経営管理思考の停止です。これは悪い習慣ですから改めましょう。また、分業もとても合理的な仕組みですが、人の持つ能力を分業の範囲内までと限界を決めてしまう傾向があります。本来なら重なりあう部分を増やすべきなのに、逆に隙間を広げることになる事例も出ています。見えるのだけれど、見るべきものを見なくなり、もっと広がるはずの能力があるのだけれど、広げるチャンスを自分からなくしてしまうのは実にもったいないことです。
入社10年前後の、小グループのリーダーには、まず①会議やミーティングを上手に運営して欲しいですね。少なくとも、今回の会議の目的をしっかり示す、自分のグループの課題とその改め方の方法を共有する、議論は正しさも大事ですが理解と納得をメンバーがしたかどうかがもっと大事です。それがなければ、会議が終わっても、さあ一緒にやろうという行動につながらないからです。そのためには常に②情報を共有しましょう。ここでいう情報は、自分のグループが生き生きと働けるための情報、自分のグループが担う職務機能を遂行するための情報、会議の判断や意思決定が正しく行われるための情報です。そして、③組織としての効率的な運営です。仕事の効率がいいとは、その仕事に費やした労力や時間に対しその成果割合が高いことです。時間という切り口では、適正な会議時間、妥当な残業時間、実行作業時間割合などを目標設定してその進捗管理もあります。メンバーのやる気を引き出し、生産性を向上させ、人の集まりが単に1+1=2で終わるのではなく、2+αとなるようにするにはどうするかを常に考えて、試して欲しいのです。
 リーダーを卒業した管理者となると、求められることはもっと高くなります。④チーム(組織)体制を確立しましょう。経営学では「組織」は、共通の目的を達成するために、2人以上の人間が集まって、意思の疎通を図りながら秩序を持って協働するシステムと定義されます。成果を生むに必要な職務能力のレベルと現在のメンバーの差異を具体的にとらえ、このチームに本当に必要な人数(適正人員数)を把握し、不足する力や能力はトレーニングで鍛えるか、他から補強するなどして、最もバランスの良い状態を作っていって欲しいのです。並行して⑤リーダーとして組織の方針を決定しましょう。当然ながらわがまま勝手に決めていい訳はありません。経営理念やトップの経営方針に沿うことは当たり前です。管理者としての自分や自グループに課せられた使命、目標、課題に対し、今どのような状況にあり、自グループはどのような傾向や癖があるのか、それを踏まえて期待される役割を果たすには具体的に何をするべきかという具体的方針・施策を決定してメンバーに示して下さい。一人でできなければ、仲間や上司、トップの力を借りればよいのです。いいことをするのですから、皆さん惜しみなく協力はしてくれます。協力が得られない人は、協力を求めていないか、得られない原因が自分の中にあるのではと、振り返って下さい。何かヒントが出てきます。

【多くの人が薦める生き方】
 「人生こうすると良くなる」というようなテーマで、いろいろな本やインターネットに書かれていること、講演でお話しされることで集約されるのは次の生き方ではないでしょうか。
(1)感謝しながら生きる
(2)共に生きる
(3)自然体で生きる
(4)自分らしく生きる
(5)命を育む(生命を寿ぐ(ことほぐ))
(6)規則正しい生活をする
(7)草花を愛でる
 人の心(考え方や価値観)が変わると世の中が変わって見えます。同じものでも違って見えるし、印象も変わります。人が自然とのつながりを感じ、他の人との関わりやつながりを優しく感じる心を持つと、未来が切り開かれ、世界が変わっていくといいます。できることからはじめて、継続して行きましょう。

[ 更新:2008-04-01 09:29:19 ]

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