これからの「日本的経営」は、社員はやりがいと個人の成長を、企業は安定した収益と事業の持続的成長を同時に手に入れる経営力(マネジメント能力)がトップに望まれる。難しいが挑戦しよう!
中小企業も少し人数が多くなるとリーダーの仕事も分業が必要となってくる。スポーツではチームリーダー、ゲームリーダー、イメージリーダーが必要と表現しているようだ。現状の問題をただひたすら解決しても、受け身的な問題解決の単なる積み重ねだけであれば、自動的に企業の将来ビジョンの達成には結び付かない。現在起きる問題と将来像とはギャップがあることが多いからだ。
組織は真面目過ぎる人だけでもいけない。優秀でまじめな人はミスをしないこと、失敗をしないことを考えて行動するから、他とのいい意味の差が出ない。競争相手と力の差のない(優位性を持たない)戦いをして勝ち進むのは難しいし利益も取りにくい。車のハンドルのように遊びの部分というか余裕が欲しい。自信がないと、保身の気持ちが強いと気楽に遊べない。ある意味で真面目過ぎるということは、自信のなさの裏返しなのかもしれない。
コミュニケーションでは、後腐れなく会議で意見交換(時には喧嘩みたいな…)ができる会社は強い。「上司が部下を呼びつける文化」ではなく「上司が部下のいる現場に出かける文化」がある会社は風通しが良いし秩序だった社風となっている。お客様の中にこの意識をとても大事にしている社長がいる。ここは現在も黒字を維持している。
社員がモチベーションを上げるには、「誰かに必要とされ、役に立っている」という充実感が必要だ。疎外感を持たなくて済む組織風土だ。「あなたがいなければ困る人がいる」ということだ。「自分が必要とされている」「自分には組織の中に居場所がある」「帰る所がある」という思いがあれば、社員はおのずとやりがいを感じ、期待に応えようと頑張り、仕事を通じ成長していく。
逆に、「自分なんて…、私なんか…」が口癖の社員の働きぶりは目を覆いたくなる。このような古参社員を何とかしょうと躍起になる社長もいるが、活性化した人を見たことがない。自分がその気にならなければ、周りがいくら何とかしようと頑張っても、その人の成長は限定的だ。
2〜3年前から言われるが、顧客満足と従業員満足は調和する。顧客満足と従業員満足が連動することで会社全体の競争力は向上する。社員数20人余りのお客様企業だが、上場企業としっかり技術力で取引しているところがある。ここの技術者の平均年齢は40歳くらいと思う。黒字を維持するお客様企業に共通することだが、そこに働く若くて有能な人材は、経営管理はまだよく分かってはいないが、技術では傑出した対応能力を持っている。そこでは「顧客要求仕様が満たせる」と言い表している。個人としてはまだ成長途上かもしれないが、周囲を巻き込んでチームの中核を担おうと努力している。長時間本当によく働いている。管理監督者としては不安定さがあるようだが、ここではチーム力と個人力のバランスが良くなるように、トップは上からのサポートを心がけている。
これからの「日本的経営」は、社員はやりがいと個人の成長を、企業は安定した収益と事業の持続的成長を同時に手に入れる経営力(マネジメント能力)がトップに望まれる。難しいが挑戦しよう!