創造経営コンサルタント吉見 - head

経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 6月号から

家系調査で3回目の小浜、カルロス・ゴーン氏が見る「日本人の良い気質」、コミュニケーションの基本:感謝ほか

【神戸】
 4月下旬に夫婦一緒では初めての関西旅行でした。関西旅行が目的ではなく、福井県小浜にある吉見総本家の親類縁者にあたる方へのお礼の訪問が主目的でした。昨年の5月に吉見家の菩提寺が分かり、そこのご住職の助言で、小浜在住の吉見本家と親類筋の家を教わり、挨拶だけと思い立寄りましたら、茶舗業を営まれているH様が郷土の歴史にとても詳しく、吉見本家の家系図の写しをお持ちで、小浜から北海道に渡った時期等々が判明しました。日を改めて挨拶に伺う約束はしたものの、チャンスが作れずにおりましたが、3月に神戸空港が開港し、京都から小浜まで約90キロの距離、京都に宿泊してレンタカーを借りて小浜へ往復する方が妻の実家の金沢から移動するより近いと判断し、神戸一泊、京都二泊でした。
 新しい神戸空港は滑走路が1本のかわいい(?)ローカル空港ですが、三宮までの移動時間も短く、ホテルに荷物を預け、市内観光です。神戸には苫小牧東高時代の同級生が住んでおり(地元スーパーに勤務、前に聞いたときは生鮮品のバイヤーでした)、行った日は彼が休めるような曜日ではなかったので、観光スポットの伝授をお願いしましたらガイドブックが送られて来まして、彼のお奨めの北野異人館街を散策してきました。年齢に関係なく夫婦、カップルで歩く姿がとても多かったのですが、女性に従っていやいや付き合ってという風は無く、仲良く楽しそうに歩かれていました。これはいいものですね。個人的には、異人館街もいいのですが、本物のヨーロッパを旅したいという気持ちが沸きました。
 それから神戸市立博物館では「江戸の誘惑展」が開催中。ボストン美術館秘蔵の肉筆浮世絵が80点余り並び、昨年の秋に続き北斎の傑作を見ることができました。版画とはまた異なる肉筆画の迫力と細緻さを堪能して参りました。北斎の画業について、大学の刑法ゼミの恩師野阪先生は、「江戸時代という制約された閉鎖社会の中にあって、あれほどの文化を創造したことは実に素晴らしく、日本人として誇るべきものだ。」というようなお話をされていたことを思い出しました。その野阪先生を囲む会は6月中旬、東京で行われます。ゼミ同窓生の交流が深まることを楽しみにしたいものです。
 翌日は早起きをして、京都へ移動、レンタカーで山越えの予定で小浜へ、途中期待していなかった桜を見ることができ喜んだものの、選んだ道路は土砂崩落で2月下旬から通行止めの案内、琵琶湖西岸に迂回して、琵琶湖を横目に移動。それでも予定通りスケジュールを消化し、午後7時半に車を返しました。帰りは渋滞で往路よりも一時間以上時間はかかりましたが、本州では致し方ないのでしょうね。

【カルロス・ゴーン氏が見る「日本人の良い気質」】
 中小企業は、自社の強み・良いところをしっかり認識し、そこを伸ばしていくことが持続する基本です。あわせて日本人の良さ、地域性の良さも活かしていくことが基本です。カルロス・ゴーン氏は日本人の良さとして、まず①「何事にも献身的に取組む」と指摘しました。皆様の会社ではいかがでしょうか。「献身的に」利害を考えずに力を尽くす人ですが、少なくとも全体の2割のメンバーはこうあって欲しいですね。次いで、②「企業や社会に忠誠心がある」。「忠誠心」、誠・忠義の心というと古めかしく聞こえるかもしれませんが、真心・誠意を関わる人のために尽くすことは人としての基本です。これらが無くて、『顧客満足』と言っても白々しくなります。ただし、意識をしっかり持たないと、「心のこもらないうわべだけの振る舞い」となってしまうので、私自身も反省が必要です。そういえば、ある企業のスタッフミーティングで、20歳ほどのスタッフに、「慇懃無礼」という表現を使いましたら、「意味が分からない・・」と言われてしまいました。こういう時代なのですね。さらに③「個々が持てる力をフルに発揮しようと一生懸命努力する」とあります。力の出し惜しみをせず、金銭対価に迎合せず、常にベストを心がける。「悔い」の無い働きを、ある意味命がけで行うとなると、強い使命感が求められます。この点も私はまだまだ修行が足りません。最後に④「事実に対して向き合う謙虚さ、現実性」を挙げています。現実から逃げず、事実・真実・本質を掘り下げていくなら、次に進むべき道は見えてくるでしょうし、実現可能性を意識して行動計画が練られたなら、ドンドンいい方向に変わっていきます。異国の人が認めて下さった「日本人の良さ」を失うことなく、受け継ぎ、実行して行きましょう!

【事務所通信のスタートの頃】
 コンサルタントとしてスタートしてしばらくは仕事の量が少ない時期が続きました。多くの方が、「3年は食えないと思え。」と助言して下さいましたとおりですが、開業の案内を出しても、挨拶に顔を出してもなしのつぶて、電話の鳴らない日々が延々と続きました。ホームページを作っても、友人たちが見てくれて励ましてはくれたものの、他の反応は全くなし。孤独感にさいなまされた時期もあったことを時折思い出します。
 そんな時、現在もいろいろ励ましと助言を下さるミック研究所佐藤茂則先生から、「何ができて、何がしたいか継続して情報を発信することが大事。相手が読まなくても良いから、作って送り続けるとそのうち変化が起きてくる。カラ元気でも相手を励まし、相手を元気にして自分も元気になる!」という言葉に背中を押され、2年半前からこの事務所通信が始まりました。
今でも、事務所通信に感想なりコメントをいただくと実に嬉しいのも、電話の鳴らぬ数年前の記憶のせいでしょうね。

【コミュニケーションの基本:感謝】
 「うちの会社はコミュニケーションが取れなくて・・・」とは仕事柄よく聞く言葉です。では質問ですが、「具体的に、言葉にして、自分の意思を伝えているでしょうか?」「こうやって欲しい、こうなって欲しいと、頼んでいますか?」「これをこういう風にやってもらえると嬉しい。」というように相手に発信しているでしょうか。
 確かに「言った事」と「伝わった事」は必ずしもイコールにはなりません。誰かが何かをしてくれるのを待っているだけでは現状は変わりません。「言ったのに何もしてくれない。」と否定的に決め込まず、自分の言った事を受け止めてくれない相手の「心」「立場」に身を置き換えて、何故応えてくれないのか考えてみましょう。何か気づけるはずです。
誰かに何かをして欲しい、自分の事を分かって欲しいという気持ちでいっぱいの人に接すると、尖った針がいっぱい出ていて、そばに近づくと痛そうな気がして、私は距離をおきたくなってしまいます。また、「どうせ言っても無理だから、一人で頑張る。」というタイプの管理職が、どの企業にも必ずいらっしゃいます。
 具体的に、して欲しいこと、その理由や目的を、相手の目を見て、自分の言葉で話し、伝え、その結果に対し「ありがとう」と言葉に出して感謝すると、コミュニケーションの深まり方は違います。仕事で関わる企業でコミュニケーションが取れない企業の多くは、上位者が「指示・命令は実行されて当たり前」という気持ちが勝り、部下へのねぎらいや感謝の言葉が少なく、部下は人間として認められていない寂しさから、言われたことだけ、言われたとおりにやれば十分という気持ちに固まっている印象を受けます。
 「ありがとう」の言葉を、まず身近な人に言いましょう。家庭から、隣近所へ、会社でも、さらに取引先へと広げていくと、少しずつ変化が起きてきます。さあ、やってみましょう!

【相手の立場で:2.5人称の視点】
 「相手の立場に身をおく」と言葉でいうのは簡単でも、いざ実行するとなると私自分も当事者であればなかなか難しいものです。柳田邦男さんは、専門職の人達に、「2.5人称の視点」を薦めていると新聞のコラムに載っていました。氏が説明するには、「自分だったらという1人称の視点、家族だったらという2人称の視点、他人事と見る3人称の視点があります。1人称や2人称の視点ばかりでは感情的になって、冷静な専門的判断が下せなくなるでしょう。3人称の視点が強すぎると、心を持った人をモノ扱いする危険があります。」
 「人を対象とする専門職には、1人称と2人称を頭に入れつつ、3人称的な客観的専門判断を下せる2.5人称の視点が求められる。」というのが柳田邦男さんの意見だそうですが、これは経営者や管理者にも応用できる考え方ではないでしょうか。「何か上手く意思疎通ができないな・・・」と感じたとき、これらの各人称の視点で相手の心や問題を掘り下げてみるといいと思います。これもやってみましょう。

【格差社会】
 最近「格差・・・」という言葉を目にする機会が増えてきました。「日本の所得分配に不平等が起きている」ということのようですが、その本質や客観性については今ひとつ私には分かりません。はっきりしていることは、過去10年以上の経済成長率の停滞とリストラによる税収の低下と高齢化問題。景気回復のために行った政府の景気対策が十分効果を出せず、税収不足の悪循環から財政危機がせまり、それを背景に小さな政府を目指す財政支出の削減や規制緩和に対し、既得権益を持つ側からの批判という構図は理解できます。
 国も企業も成長率の回復が必要であることは間違いないものの、成長が加速するとき、その波に乗れた人(企業)と乗れなかった人(企業)との格差は一時的に拡大し、その後時間を経て成長の恩恵が全経済に及ぶというのがこれまでの経験だったと思います。成功者を見て、自分には真似ができないと諦めるのではなく、自分にもチャンスがあると考え、行動に移せる人を増やして行きましょう。安易に平等を唱え、単に分配を要求するのではなく、成長に貢献する意欲と能力を持った人材を組織的に育成することに努めましょう。
 格差について教育の場面では、家庭の所得の多寡が進学機会を制約するのでは、という危惧もされています。新聞情報で見る限り、両親が高学歴高所得者層の子供ほど、進学率は高く、俗に言うエリート難関校でその傾向が強いとされています。私の周囲を見ても、経済問題としては事実と思います。視点を変えてみると、経済のみならず家庭の文化環境も進学機会を制約してはいないでしょうか。
 高学歴家庭においては、無意識の中で備わるもの、両親の有する豊富な書籍、美術館や博物館などでの文化的学習体験、視聴するテレビやDVD、出かけるライヴコンサート、茶の間での話題、家に出入りする人達との交流等々の文化環境と実体験に恵まれた子供と、それらに恵まれない子供の格差はどうでしょう。これらに恵まれた子供たちに、恵まれない子供たちが追いつくには相当の努力が必要ではないでしょうか。私の両親の学歴、幼い頃の炭鉱長屋での生活を思い起こすと、個人的にはいろいろな思いがあります。
 御茶ノ水大学の耳塚寛明教授は、「学力という結果だけ見て、当の子供の努力不足に原因を求めるのは間違っている。」として、所得に起因する不平等と家庭文化による教育格差があることをしっかり見て、業績主義や成果主義に走りすぎることを避けるよう警鐘を鳴らしていました。子供にとって、家庭における両親の役割の重要性を教えてくれています。親はしっかり家庭文化を築き、子供達がそれを受け継ぐ仕組がますます重要になっていると思います。

【事業再生】
 窮地に陥った企業の再生では、負債の棒引き(債務免除)などを実施して、負債を減らす財務再構築という作業が行われます。通常企業再生の緊急措置とされますが、負債を減らして(免除)もらえたからといて、それだけで再生する企業は少数のはずです。リストラの本来の意味である「事業再構築」に踏み込むことができた企業が、延命・持続できます。法務・税務・会計を駆使して負債を軽減するだけのものは、本当の意味の事業再構築による事業再生とは別のものと考えます。
 景気変動には、循環的要因と構造的要因があります。循環的要因とは、一定間隔で音楽やファッションが繰り返し流行するようなもので、この流れにあるとき企業は、景気が悪くてもじっと耐えて待っているとそのうち上昇気流が吹き始め、それに乗ることができると立ち直ることができました。現在は、構造的要因による景気変動です。国内においては「少子高齢化と人口減少化」、国際的には「製造業に参入してきた旧社会主義圏の台頭」という大きいな要因があります。ですから、最近上場企業を中心に景気や業績が回復してきたといっても、北海道内の個別中小企業の業績回復には直結しません。
 他の地域よりも一足早く人口減少が現れた北海道では、理屈の上では減少した顧客に今まで以上の量の商品・サービスを買ってもらうか、他(本州あるいは海外)の地域から顧客を引き込むことができるような、新しい発想のビジネスモデルで、顧客ニーズを把握し掘り起こさない限り、過去の業績を維持できないのが普通です。
 企業のお客様の年齢が相対的に若い場合は、モノへの購買意欲はまだ高いでしょうが、顧客層の年齢が相対的に高齢化している場合、モノ余りの状態の客層はモノへの欲求は希薄となっていることでしょう。食品ですと、人は加齢と共に食は細くなっていくものですから、量としての消費は減っていきます。ですから物質としてのモノが生み出す満足感や効用、あるいはサービスに価値が見出されなければ、購買につながらなくなっています。量より質のマーケティングが問われています。

[ 更新:2006-06-29 10:57:31 ]

その他の記事
記事のインデックスに戻る
ページのトップへ
創造経営コンサルタント吉見 - foot