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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 2008年5月号より(第54号)

【春:桜】 【記録】 【移動】 【教育】 【管理者の役割】 【強い会社とは】 【人生】

【春:桜】
 今年の札幌の弥生3月は、下旬に6日間連続して最高気温が10度を超えました。これで一気に雪解けが進みました。4月に入り、6日から6日間連続して最高気温14度以上を記録、15日より3日間続いて15度を超え、加えて18日から23日までは毎日20度を超えました。結果平年より2週間も早く桜の開花となり、その後散っていきました。4月の中旬に東京他に行っていたのですが、戻った北海道の方が気分的に暖かく感じられました。
 東京では桜は散ったものと思っておりましたが、モノレールから外を眺めていると日陰には遅咲きの八重桜が散り際でした。夜は上野にある昭和34年建設という当時の雰囲気そのままの居酒屋で、大学の恩師と久しぶりに語らい会えたのが喜びです。いつものように、私の事務所通信を持参されました。有難いことです。
今年の気候の推移を見ても寒暖の振幅は大きく、経営の場も同じく波乱含みであると心の準備をして進もうと自分に言い聞かせています。

【記録】
簿記とは、企業が活動した動きの全てを、円という貨幣の単位を使って、足したり、引いたりと計算をして、あとで見るために、記録をして、残しておく手法です。会計に限らず、身近なところでは健康診断記録、日常の体重の記録、職場での労働時間管理の記録もあります。残すための記録もあれば、活かすための記録もあります。人の記憶や感覚はファジーとなりやすいので、計数記録を使うと客観性が高まることが多いのです。
仕事の場では「見える化(みえるか)」という言葉が定期的に出てきます。生産工場に多く使われていますが、現場における目に見えない活動の様子を、記録をいろいろ工夫して、加工して目に見える形にしよう、気付けるきっかけとしようとする取り組みを表す言葉です。ですから、「見る」ことよりも「見える」「見せる」こと、その結果現場改善つながる気付きと改善行動につながるように重点を置いて知恵を絞っています。
現場作業についての情報を、組織(グループ)内で共有することにより、現場の問題の早期発見、稼動や作業の効率化や改善に役立てることを目的とするものです。工場見学をすると、カラーの図やグラフにして分かりやすくする実際事例をたくさん見ることが出来ます。
目的は改善行動(今までの行動を改める)ですから、記録を取ることが目的、見える化のテクニックを磨くことが目的となってはいけません。資源を大切に使える人を育成することが目的です。

【移動】
 私の先祖は松前藩のあった頃、福井県小浜から北海道の江差町の隣町の上の国へ移住、その後明治期に鯡を追いかけ増毛町阿分へ、大正期の終盤にさらに北上して最後は樺太へ行きまして、父が昭和2年に樺太大泊で生まれました。
最近都市の過密化、地方の過疎化といわれますが、今も昔も人は豊かな暮らしを求めて移動するものでしょう。推測するしかないのですが、曽祖父・祖父の時代、家族や自分の生活を維持したい、もっと良くしたいと考えての移動と思います。当時数百キロの移動を決意し、実際に家族を伴い移動するのですから、実に意欲(エネルギー)にあふれ、生きるために知恵を絞り、生活の術を磨いていったのでしょう。何と言っても当時の北海道は、今よりはるかに寒かったことと思います。
 北海道は、同じ日本といっても異なる言語(関西や関東、東北と言葉の違いは大きいものです)の人たちが移住してきた土地です。言葉が違うということは、生活文化の背景が違うということです。そのような人々が入り混じる当時の北海道は、多様性とあふれるエネルギーをもたらしていたことでしょう。常に革新的であることが望まれますが、三代前から北海道に生まれ生き抜いてきた先祖を持つ私たちには、この多様性とほとばしるエネルギーの遺伝子があるはずです。これを活かさぬ手はありません。このエネルギーを使って、働く場で小さくとも光る強い分野を持ちましょう。

【教育】
 基礎知識がないと、文字が読めないと、言葉の意味が分からないと、調べ方が分からないと、本を読んでも理解できません。この入り口を突破させるのが教育です。私の父は早く父親をなくし、樺太の尋常小学校卒業にとどまり、学歴のなさ、知識のなさを悔いておりましたので、私の教育の機会は両親が努力して与えてくれました。学齢期のお子様をお持ちの同世代の友人と話をしても、入学金や学費に加え毎月の仕送りにと、親の責務を果たすことに本当に大変そうです。ご夫婦で、子供ためにと懸命に働いていらっしゃいます。みんな頑張っています。その様子に「親に感謝」と、年を重ねてやっと素直に思えるようになっています。
 ところで、皆様の周囲を見て、次の質問に対しどのような回答をなさいますか。
(1)学習や読書に熱心なサラリーマンは、所得も多く仕事も充実しているというが本当ですか?
(2)読書する習慣を持つサラリーマンは、読書しないサラリーマンより所得が多いというが本当ですか?
(3)学生時代に読書をしなかった人は、卒業後も読書をしないというが本当ですか?
(4)学生時代の学ぶ習慣は、仕事の場での学ぶ習慣に引き継がれるというが本当ですか?
 
私の学生時代のサークル仲間、現在関わる経営者とそこに働く人を見る限り、概ね当てはまっている印象を受けます。人格形成の3要素は、①遺伝、②教育、③環境といいます。企業でつくれるのは、教育の場と働く環境という場です。その場から自己研鑽のスイッチが入り、仕事で光輝く人が増え続けて欲しいものです。

【管理者の役割】
①自分以外の人の時間や経験を活用する。
②自分の担当部署の成果を出す。
③部下の生活と成長に関心を持つ。
④他部門のリーダーと、お互いが成り立つ折衝力を持つ。
⑤リーダーとしてのものの見方、考え方を磨き続ける。
⑥常にひとつ上の立場で考える。ひとつ上の仕事は、自分が責任を持って譲り受けるものだから。
⑦先(流れ)を読んで仕事をする習慣を持つ。
⑧上司との円滑なコミュニケーション(意思疎通)と上司の補完をする。
⑨部下一人ひとりの長所を引き出し、それらを仕事に活きるように組み合わせる。


【強い会社とは】
 経営管理の基本は、経営目的や目標を立て、その実現に向けて準備(段取り)をし、経営目的が達成できるような順序や方法を具体的に立案して、その立案に沿ってひたむきに実践・実行し、会議の場でその実践度合いを測定し、評価し、始末するという管理サイクルをまわすことです。
 本当に強い会社は、これらの仕組みをまわすことに加えて、いつもある仕事をしながら「新しい仕事を生み出す力のある会社」です。新しい仕事を生み出す力のある人がいる会社です。その人の多くは、トップ(経営者)であることが多いのですが、中小企業でも企画力と行動力のある社員を時折見かけることがあり、そんな時は嬉しくなります。
 例えば製造業が新しい仕事を獲得するには、新しい素材や新しい形状の加工を頼まれる、これまでにない機能や能力を持つ部品・機械装置の設計や製造をする力という「現場力」が必要ということです。「現場力」をつくるのは現場で働く人たちです。その力を持つ人は、自分の仕事に対しプロとしてのこだわりが強く、素人の興味や趣味のレベルを超えたとことん突き詰める集中力を持っています。私はそのような人を見て、自分の専門こだわる必要性を教えられます。

【人生】
 ジャネーの法則というのがあると新聞にありました。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で調べると次の説明です。19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者・ピエール・ジャネが著作で紹介したもので、主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に解明した法則のことです。簡単に言えば、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例し、年齢に反比例するというのです。例えばジャネーによれば、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどであるが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。よって、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間であり、1歳の人の1日が50歳の人の50日にあたることになるというものです。
 人生は長いようで短いとするなら、自分の才能を磨くことなく、育てることなく歳月を重ねるとどうなるだろう。面白いから、楽だからといって感性の低い人とだけ交わっていたらどうなるのだろう。
 自分で目覚め、黙々と仕事に没頭し、質の向上を目指して継続するというひたむきさの積み重ねが自己成長になると思う。努力をして成長した人は、関わる人に感謝される存在になる。

[ 更新:2008-05-01 13:00:42 ]

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