創造経営コンサルタント吉見 - head

経営コンサルタント吉見からのお知らせ

「今ここに生きる仏教」上田紀行氏と大谷光真ご門主との対談を読んで

お盆休み読んだもう1冊。読みながら、次のような生き方をしなくてはと考えた。

1.エンジンとしての教え
 相手の気持ちを受け止めないで、一方的にしゃべっても通じないし、本当に伝わらない。創造経営コンサルティングは、人から人に伝わるものにしていかなければならないのだが、創造経営コンサルタント吉見を名乗って11年たつが、とてもゆっくりとした伝わり方である。
 廃業・破綻・倒産企業を見て思うに、社会に必然性や必要性がなければ成りたたないことは事実である。世の中には課題を抱えた人はたくさんいるのだから、それを受け止めて、課題を抱えた人が頼りにして下さる経営コンサルタントになると、人との交流は増えるはずだが、未だそのレベルに達しないことを深く反省する今年の8月である。もっと積極的に、ご縁やつながりを自分からつくっていくのだ。
 創造経営コンサルタントとして、関わる人たち(企業や共同体を含めて)に染みこむ生き方、働き方を日々実践する義務がある。相手に通用する言葉となるように、相手に伝わるような表現の仕方を、毎回工夫する努力もいる。大谷光真ご門主がこの本で指摘するように、私は仕事柄分析的言語が勝り、相手を動機付けるエネルギー的言語が欠けている。
 ご門主は、「教えにはハンドルとしての教えとエンジンとしての教えがある」という。これは分かりやすい表現だ。私達経営コンサルタントは、道を間違えないように、正しい方向に行くようにとハンドルとしての教えにかなり偏っている。今後、エンジンのかかりが良く、エンジンが高速回転できるように、元気が湧き出て持続するような経営コンサルティングにしていかなくてはと改めて思う。
 経営コンサルタントは、期待されていないと問題も相談も持ち込まれない。私たち専門職は、毎日社会が良くなるように、支援先企業が良くなるように、心から願って行動していく義務がある。

2.ご縁
 「縁起」とは、「縁って起こる」こと。「気づけるということはご縁があること。」というから、気づいた時は素直に喜びたい。それから時間的縁起というと、因果が連鎖していることであろう。空間的縁起というと、私には様々なご縁によって生かされている面と、私が周りに影響を及ぼしている面があるといことだろう。関わりをいただいた人へ、少しでも良い影響が及ぼせるように、自分の能力と立場でできることがたくさんあるはずだ。遠慮せずに潜在力をどんどん表に出して伸ばしていくといいのだ。「創造経営の良いところを学んで下さい。活用して下さい。」と投げかけていこう。
北海道に厳しい現実があることを素直に認めて、その中でできることをするだけだ。私の能力には限界があるし、私の知恵にも限界があるのだから、今の自分ができることに全力を尽くすだけだ。問題意識を持って学ぶと、楽しく身についていくのだから。

3.贈与の経済
 最近の人間中心主義の経済社会は、生産者と労働者、そして消費者という立場も取りながら、お金を媒体につながっている。仏教では、「浄土に行って悟りをひらくために今日を生きる。これは浄土からの呼びかけに応えて生きていくこと。今私たちが利用しているものは、自分がつくったものではない。恵まれたものを、有難く、もったいないと思う心で、最大限生かしていく。」と本書では教える。
 故薄衣佐吉翁は、奪の経済を改め、贈与の経済へ変えていこうと訴えていた。私の子供の頃から現在に至るまでを振り返ると、貧しくはあったが人間関係では、常に誰かに何かをもらったり、与えたりしあっていた。たとえささやかであっても、何かをもらったり、与えたりしあうことで、信頼関係も築かれ、人間関係がつくられていったのだと思う。何も与えない、誰からも何ももらわないことを徹底したら、あたたかな関係性はつくれないと思う。今の私の年齢になると、仕事の場面でも「借りがあるから、何かで返さなくては・・・」という位の方が、信頼関係は長続きしていることに気づく。私の記憶では、おすそわけの文化、好意の交換の連続が、人間関係を豊かにしていく面はあった。一対一の貸し借りから、循環的連続的貸し借りの関係(映画の「ペイ・フォワード」を思い出して欲しい)への広がりが、社会の中でお互いの信頼度をたかめていくのだろう。

4.動態連続生命
 私たちの命は祖先から受け継いだ命であり、人類誕生以来受け継いできた命でもある。普段はそのような受け止め方をしていないだけで、連綿と受け継がれて今の自分に至っていることは事実だ。当然良いことも、良くないことも受け継いでいる。誰もが、それぞれの生きる時代の影響や、周囲の影響を受けている。3月11日の大震災からはや五ヶ月が経過した。今私たちがどう行動するか、年長者がどのように振る舞うのか、何を遺して行こうとするのか、私達の子孫に限らず次世代に関わる人たちへの責任が問われている。21世紀の百年を貫く妥当性がなければ、私の創造経営も滅びるのかもしれない。本書にある「諸行無常とは、役目が終われば滅びるということ。」という言葉は重い。

5.実行
 経営コンサルタントとして今年もいろいろやるのだが、世の中はやはり難しいと気づかされる。しかし何もしなければ、難しいということにも気づくことがないままであろう。気づかないのだから、「もっと良い方法を探そう」ということもしない。今は、その時、その時に良いと思うことをまずやるしかない。今は、余計なことは考えない方がいいようだ。現場で問題を見たときは、見過ごしてはいけないということになる。
 人生修行が大事というが、ここで言う修業は経験の積み重ねの意味としよう。自分の言葉で語ろうとしても、実体験がないと自分の言葉にならず、話がうすっぺらになり、相手には伝わらない。この貴重な実体験を一番与えてくれるのは家族だろう。私はあと3年少々で満60歳となる。私の次の世代に、どうバトンを渡していくか、目についた歪みをどう正していくのか、その行為が善き種蒔きとなると信じよう。自分の責任を自覚し、自分の役割を果たす行動を取る強い気持ちを持とう。そのベースには自分が好き、自分が大切という実行肯定感が必要だ。自分に自信を持ち、自分を不必要な縛りから解き放とう。時々自分の言動を反省し、自分にある弱いところも罪深いところも受容しよう。どうこう言っても両方あるのが自分なのだ。それらを丸抱えして、自分の使命に気づいて、自分を解き放っていこう。

[ 更新:2011-08-17 13:36:17 ]

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