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山本七平さんの「空気の研究」を読み直して(その2)

神という概念

山本七平さんは、「『神』という概念は、元来は『恐れ』の対象だった。多くの神社は悲惨を体現した対象が、その悲惨を世に振りまかぬように、その対照的物質をご神体として祀ってなだめている」と書かれます。確かに「鎮魂」のための神社とか、御霊鎮めのための神社として創建されたという話をお聞きすることもあります。

一方「一神教の世界」では、「絶対と言える世界は一神だけだから、他の全ては相対化され、全ては対立概念把握しなければ罪となる」とし、「相対化の徹底が残すものは契約となる」と続けます。だから二元論になっていくのでしょうか。

山本七平さんはさらに続けます。「人間は自らのうちに対立を含む矛盾した存在」であり、「人の歴史は錯誤の歴史」と手厳しい。なぜなら「人の持つ通常性の基盤は、その人が持つ記憶」だからとされます。

さらに「多数決原理の基本は、人間それ自体を対立概念で把握し、各人の内なる対立という『質』を『数』という量にして表現する決定方法に過ぎない」クールに書き進めます。
そして「日本には『多数決が正しいとは言えない』という言葉があるが、この言葉自体が多数決原理の無知から来たもの」と手厳しい。「正否の明言できる事と、論証とか証明とかは多数決の原理の対象ではない」とし、「多数決は相対化された命題の決定にだけ使える方法だからである」と言い切ります。
こういう論理の進め方は、私には不足しているものであり、大変勉強になった。
こういう日本人的な感覚が、理屈で勝って、感情で負ける場面を生むのだと思いました。

[ 更新:2020-01-01 16:10:39 ]

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