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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信2008年6月号(55号)より

【経営管理】【小説】【経営管理2】【新人へ】【新人担当の上司や先輩へ】【人生】【家庭・家族】

【経営管理】
 経営計画を作りましょう、経営理念を見直しましょう、経営指針をしっかり立てましょうということが多くの中小企業で行われています。しかしながら最近は石油関連製品の持続的な価額高騰で、目先のことに追われてそれどころではないという企業も多くなっています。今のように大きな変化、これまで体験したことのないようなことが普通に起きる時だからこそ、今期あるいは2~3年後にどのような会社でいるのか、自分たちで企画し、それを試すチャンスです。
 高騰する仕入れ商品や原材料を前に原価率をどうするのか、冷え込む消費に販売方法は今のままで良いのか、良いことも悪いことも織り込んで最悪の場合、ある程度善処できた場合の具体的な数字を試算するのです。調達価額の上昇を織り込んで売価を改定したものの、それを上回る勢いで調達価額がアップし、前年以上に赤字が膨らんでいる会社も普通にあります。このような時だけに、会計の質とスピードを上げて、日々の購買の交渉に目標を設定して挑み、立てた目標は実現させるという強い意志が必要です。みんな必死ですから、弱気ではいけません。
 守りに入る経営者、コストダウンを優先する経営者もいますが、売りや攻めにも力を入れないと黒字は維持できないはずです。まず取引先の要望には可能な限り応え続けましょう。その取り組みが人の技術やノウハウを成長進化させる原動力になります。
 守りやコストダウンにしても、小手先の2~3%程度の改善では最近のコストアップの吸収は出来ないのですから、思い切って固定費の30%以上の削減の方向を考えるくらいのダイナミズムが必要です。
 このような激変する環境ですから、自分はどのような組織にしたいのかイメージを固めましょう。何があっても生き残る、この苦境を乗り越えるにはどんな組織であるべきか明確にしましょう。トップにも管理者にも彼らを支え、一緒に行動する人(サポーター)が必要です。この現実の厳しさに怯えて、固まって(フリーズして)いて良いわけはありません。
 誰もが経験したことのない時代の流れにいるわけですから、分からないなりにもあらゆることがどういう背景で、どのような仕組みで動いているのか、今後の流れはどうなるか、自分なりに想像力を膨らませてつかみましょう。何があっても柔軟に対応できるように努力するしかないのです。そのためには自分を信じ、関わる仲間を信じて、毎日の行動の積み重ねがあるのみです。

【小説】
 皆様は年間何冊の小説をお読みなりますか。お読みになる方は結構の冊数となるでしょうね。最近の私は仕事関係の本が中心で、小説にはとても縁遠くなっています。不定期に本の整理をするのですが、中高校生時代の推薦図書であったものが出てきました。当時は全然面白くなく早々に読むことを放り出した、「青い麦」「車輪の下に」「狭き門」を続けて読みました。やはり特に面白いとは思わないものの、今の年齢になるとそれなりに読むことはできましたが、小説当時の西洋の時代、階層、宗教観がイメージできないと理解は難しいという印象を持ちました。これらが中高校の推薦図書にされた理由は正直良く分りません。
 現在日本経済新聞の連載小説に北方謙三氏の「望郷の道」があります。私は毎朝楽しみに読んでいます。経営の管理ポイントが盛りだくさんでして、経営管理のテキストと言ってもいいくらいの読み方ができます。組織を統括するトップの心構え、経営は夫婦でするものという補完と分業、製造業における機械化と投資と回収の在り方、財務管理の重要性、衛生管理と品質のこだわり、原料の調達、マーケティングでは営業部隊と店舗販売の組合せ、ブランドの構築、新商品開発、同業者競争の仕方等々実に多彩な内容が物語に盛り込まれています。
 例えば「なにかをはじめ、運に恵まれて、すぐに大きくなれるものは少なくないだろう。運にも恵まれず、努力もしない者は、たとえ先に商いをやっていたとしても、すぐに追い越される。」というセリフは示唆に富みます。皆様はこの新聞小説をどのように楽しんでいますか。

【経営管理2】
 経営をする目的は乱暴に言うと儲けることです。儲けなければ、利益を生み出せなければ、従業員への還元も、納税も配当もできないのです。最近食品や石油関連品の値上げが続いていますが、従業員の幸福を考えて、この春に給与の見直しをされた企業はどれだけあるでしょうか。
厳しい経営環境ですから、簡単に答えや解決の糸口が見えない時だからこそ、経営者は考えて考えて考え抜いて次の取組みをしていきましょう。経営者が一人で全てやることはないのです。誰かを必ず巻き込んで下さい。
(1)社内の問題を抽出し、問題解決のアイデアを具体的に出し、実際に解決の行動を取る。やらない限り変わらないのです。
(2)資源高、人口減、公共事業減、消費低迷の外部環境に自社が適応できるように、知恵を絞って働きかける。受け身ではただ流されます。沈んで行きます。
(3)これらが一緒にできる人材の育成です。今の場面をOJT教育活動にしてしまいましょう。大変なだけに、逃げずに取組む人は実力が増します。経営者でも管理スタッフでも、後継者が育たない企業は維持継続ができません。自分の代で終わります。
(4)これらの取り組みの結果、組織が変り、簡単に倒産しない継続可能な経営体質の企業になるのです。歯を食いしばり、取組みましょう。危機感を持って地道な改善を続けるのです。

【新人へ】
 6月に入りますから、新人さんは実社会生活で二ヶ月経過ですね。私の社会人新人時代を思い起こすと、札幌本社での新人研修、現場仮配属(藻岩営業所)を経て営業所配属(苫小牧支店)が決まった所です。セールス黒鞄にカタログを詰め、徒歩で一軒一軒の飛び込みセールスが始まったことを思い出します。
 実社会で生きるには処世力、世渡り力もつけること。そう簡単に自分の思い通りにはなりません。人情の機微、世の中の約束事、勤務する企業の文化とその職場のルールを学び、それらを守り、良い人間関係をつくるには上司や先輩との適度な距離感を学び、その上で自己主張を交えていきましょう。私の経験では、これらの基礎ができるのに3年はかかった記憶があります。たくさん失敗もしましたが、新人である以上知っていることは少なく、知らないことが圧倒的に多いのですから、失敗は経験として次に活かすと割り切って、謙虚さを忘れずに学んで下さい。
 学ぶことはまず真似ること。御手本としたい先輩を早く見つけましょう。なりたいイメージを具体的に持つと成長速度が速まります。ただし、いくら学んでも単に記憶・暗記するだけでは不足です。しっかり自分の頭で考え、原理や原則を納得しなければ本当の理解にはなりません。これはベテランにも言えることです。注意しましょう。

【新人担当の上司や先輩へ】
 子供の成長が速いように新社会人の新人もどんどん成長します。ですから本気で人財として育てようとするなら、そうなるように早く手を打って下さい。資質を磨かず、思考力も育たずに大人となりベテランとなっていっては大変です。新人の指導担当者が、仕事を教えるに十分な専門知識や経験を持たず、単に先輩だからと言って新人を担当すると、能力のない新人や意欲の乏しい新人は育ちません。海外で動物に育てられた子供の事例があったように、人として、職業人として十分な教育を受けずに成長する悲劇は避けて欲しいと願うばかりです。

【人生】
 人生は必ずしも誰にでも平等、公平とはなっていません。しかしチャンスはある程度平等に、いろいろな形で与えられます。そのチャンスに気づく人がいますし、気づかない人もいます。チャンスにすぐ手を出す人がいる一方、チャンスにしり込みをして見送る人もいます。どう行動するかは結局自分自身です。
私たちは家庭生活、学校生活、職業生活を通じ多くの知識と経験を、年齢と共に積み重ねています。それらをフル活用すると、過去の経験から未来が予測できるものがあります。自分で目標を決めて、それに向かって努力もできます。私たちに与えられた力は是非発揮しましょう。現状に安易に満足せず、改善・向上に努めましょう。
少子高齢化の流れに私たちはいます。この中で企業や社会の活力を維持するには、私たち自身が長く働く意思を強く持ち、年齢に関係なく仕事の能力を高める、あるいは保持することに努めましょう。一人ひとりが働く意欲と自分自身の能力を高めていくのです。
 今年5月8日のNSK日本精機㈱の新聞広告が印象に残っていますのでご紹介します。
 生まれて、成長して、壁にぶつかって、へこんで、なんとか乗り越えて、少しだけ強くなって、世界が広がったように思って、新しい悩みが出てきて、人を傷つけて、傷ついて、結局一人なんだなと思って、なのにまわりに助けられて、社会に出てたくさん期待して、ハードルは高くって、無力だなと思って、何だか嫌になって、あきらめようとして、あきらめられなくって、開き直って、よしもう一度、イケ、マサツヲオソレズニ。

【家庭・家族】
 幼いころ家庭環境に恵まれない人には、家族や家庭に幸福なイメージを持てないケースがあると言います。それは辛いことです。家族がいる喜び、帰る家庭があるという喜びは、誰にも当たり前のものではなく、どうやら個々人の学習や経験で得られていくものです。仕事で個別面談をしていると、子供の頃、家族のだんらんに縁がないまま育つと、その人が親となっても家族のだんらんに必要性を感じない事例があります。
 何か問題が起きると、私たちはその表面的な事柄に目を奪われますが、その背景には夫婦関係や個々の家系に連綿と流れる問題が潜んでいることがあります。その場合、時が解決する問題ではないと受け止めて欲しいのです。放っておくと、家庭や家族の中で別の形となって繰り返される事例もあるのです。
 事例としては、人はストレスが多い時、経済的に苦境に立っている時など、自分が育ってきたときの大嫌いなことをしてしまうのです。ですからその結果、する方もされる方も、双方共に不愉快で辛い思いをします。人間にはこのような側面があるということに気づくと、相手の気持ちに対する理解が深まります。そうすると相手を批判し責めるのではなく、相手を認め、許し、その結果より深い信頼と愛情が回復していきます。それなりに時間はかかるのですが、親子3代の家系を読み込む意義がここにあります。

[ 更新:2008-06-01 13:41:00 ]

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