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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 2007年10月号より(第47号)

【共学・共育・共生】 【ライフサイクル:成長期】 【9月21日創造経営研究大会 我社のライフサイクルと感謝の経営 東建産業㈱ 国定 隆社長】 【組織:浄土真宗】 【改善のプロセス:ワンポイント】

*注意:文中の企業事例は、社名のないものは事実に創作を加えてのご紹介です。私には守秘義務がありますので100%事実ではありませんことを踏まえてお読みください。なお、経営相談は無料でお受けしています。

【共学・共育・共生】
 中小企業家しんぶん2007.9.15の太田尭東京大学名誉教授の講演記事「社員とともに」を読んで、同感したことを少し書きます。創造経営システムの人間観とあい通ずるものが多々あります。最近多くの識者が言われることと同様に、太田氏も「市場経済の中で人間よりお金が中心になり、欲望が肥大化して自己中心になり、他人との関係が疎遠になり、人間関係がバラバラになり孤独な状態になっている。」ことに加え、日本では縦にも横にもバラバラになってきていると指摘します。太田氏は「いのち」の特徴からここで3つのヒントを与えています。以下、吉見が要約したものを紹介します。
(1)「いのち」の特徴はみんなが違うということです。違いを認め合うことは難しいが、認め合わなければ社会が成り立たないものです。これは倫理や道徳の問題ではなく、自然の摂理です。違いを受け容れるには、自分が不完全であるという自覚が重要です。民主主義も、みんな不完全だから知恵を出し合い、社会を作って行こうとして始まったはずでしょう。経営者にしても、不完全なところがあるのだから、社員の知恵を借りて、一緒にもっともっと良い会社を作っていこうということが大事ではないでしょうか。
(2)「いのち」の二つ目の特徴は、自ら変わるということです。機械は合理的なシステムがあるだけですが、生き物は他人の力ではなく、自分の力で変わる超システムなのです。だれもが持っている自ら変わる力を信頼し、それに介添えをしていくことが教育の基本です。ただし、一人ひとりが自分流儀で受け止めて育つものですから、教えた通りに育つこというものではないものです。自ら変わろうとする力、それにより添って支えるのが教育ですよ。
(3)「いのち」の三つ目の特徴は、関わり合いの中に存在するということです。違いを尊重し、認め合いながら、違いを持ちながら、自ら変わっていく関係を創っていくのです。あらゆる人間が、自分の持ち味を発揮して仕事を創っていくのです。
*人間というものが、学び合うことによって一つの仕事を一緒に創造していく。そういうことこそが、何物にも代えがたい大事なものではないかと太田氏はまとめています。同友会会員企業の方は、この新聞を読み返していただければと思います。

【ライフサイクル:成長期】
 8月19日クラシックバレエ教室の発表会があり、妻とお祝いの花束を持って出かけました。ここは私の仕事とは全く関係はないのですが、30代の夫婦が営む教室の、創業満10年の生徒さんの発表会で、苫小牧市文化会館のホール(約500人収容)を満員にしました。ライフサイクルでいう成長期そのものと思い取り上げます。教室のオーナーは、ロシアのノボシビルスク・バレエ学校に留学し、プロを目指すものの膝を痛めプロを断念し苫小牧へ戻りバレエ教室を創業されたそうです。この時に知己を得た、国立ノボシビルスク・バレエ団の現在のソリストの方が、年に1度はここを訪れ特別レッスンをし続けているようです。私が前職で一緒に仕事をしていた女性が、趣味でレッスンに通ううちにこの教室の先生と結婚され、発表会の時には私たち夫婦にお誘いがあります。(結婚後、正式なバレエ講師資格を取得するために東京にも通っていたようです。)毎回観にはいけませんが、最初の頃は、300人収容のホールも前の方に父兄の姿が中心だったと言いますが、次回は200人、その次はこの会場は満員となり、今回はさらに一回り大きなホールながら休憩時間はパイプ椅子席を設けておりました。10年間堅実に歩んでいる様子を拝見するのは、コンサル業務で支援企業が成長するのを見るのと同じ嬉しさです。北海道はバレエ王国とも言われ、クラシックバレエ人口は他の地域よりは多いようですが、苫小牧市内でもバレエ教室は五か所もありますから、後発の彼らには生徒の獲得競争も厳しいでしょう。
 舞台は、単なる生徒さんの発表会からレッスン成果の発表会へとレベルアップしており驚きました。オーナーの「バレエは上手になるのに時間がかかるもの、基礎がきっちり身に付くにも時間はかかるもの。指の先1本1本まで神経を行届かせ、笑顔で魅せるもの。」という思想を表現できる生徒さんが増えておりました。静止姿勢が実に美しいのです。プロのバレエダンサー養成の王道を中核に、副道に趣味や健康管理のレッスンがあるという印象を受けました。今後プロダンサーが輩出できる可能性も強く感じたので、今回いいものは見習おうと取上げました。私は直接お話をしたことはありませんが、このオーナーは創業の精神をしっかり保持し、その具現に取組んでいるのだと思います。今後の成長の持続を期待します。

【9月21日創造経営研究大会 我社のライフサイクルと感謝の経営 東建産業㈱ 国定 隆社長】
 21日東京で第34回の研究大会がありました。この日東京は気温32度、一旦涼しくなった北海道から行くと、会場に着くと汗が止まりませんでした。この日の様子は月間創造経営9月号に特集として詳しく掲載されていますので、私はエッセンスをお知らせします。以下は、國定社長が創造経営コンサルタント部会の研修に講師として来られた時のお話の一部です。
モットー
 ほめて、ほめて良いところに気づかせる! 
こちらの誠(嘘偽りのない心)に人が動くものと信じている。実践(行動見本)が伴わないことは、人に言われても素直に納得できないのが人情。だから挨拶をはじめ「凡事徹底」に本当にこだわっている。
 創業時の経営方針
①言行一致、絶対ウソはつかない、②工期の厳守、③高品質の追求、④低コストの追求、⑤きちんと支払う(少しでも気持ちよく仕事をしてもらう心掛けとして)
 これらの徹底により社内に秩序を作り、その社内環境に引かれて人が集まり(優秀な職人たち)、繁栄につながってきた。一緒に働く社員に対しては、物心共に豊かになって欲しいと常に願っている。
社員とは家族を交えた交流の場を設け(HQM発表会)、幹部は家族ぐるみの付き合いを続けている。兄弟のように思い、接してきている。
 新規事業に対しては、社長自ら情報収集を行い、試行錯誤でかなりの失敗もし、無駄なお金も使ってきたが、新事業を立ち上げると、それにふさわしい人が表れてくる。環境が整うと人が来るというのは本当だ。これが必然か偶然かは分からない。
 いずれにしても中心は社長であり、社内に秩序をつくり、育むと磁場ができ、人が吸い寄せられてくるようだ。
 当たり前のことだが、経営者以上に働く人はいないのだから、補完者であっても期待し過ぎず、求め過ぎないこと。補完者の足りない点は、経営者が補完すれば良いだけだ。しかし、経営者は誰にも負けない努力はするものだ。

【組織:浄土真宗】
 組織とは、人間が集まり関わる場です。みんなで力を合せ、問題を解決する場でもありますから、組織メンバーの関係性が重要となります。私の家の宗派ではありませんが、浄土真宗では次のように教えているそうです。人間を考える上で、人との関わりの中で生きていく上で参考になると思います。
お盆や秋彼岸があり、大谷光真著「世の中安穏なれ」中央公論社を読んでおりました。経営にも通ずるものをピックアップしながら書かせていただきます。
人間の本性を変えることは、はなはだ難しい。
正直に、自分のありのままの危うい姿を受け容れること。
お互い凡人同士、過ちを犯すことがあっても支え合っていこう。
 ですから、価値観の違いがあても、お互いに干渉はしない、批判もしない。相手が大事にしているものを傷つけることはしないこと。人間が持ちやすい、自己中心性、排他性というとらわれを離れ、視野を広げ、自分と考えの異なるものを受け止めるのが「智慧」ですよ。相手の気持ちを重んじ、自分と違うことを承知で話し合うことが大事ですと教えてくれます。
 いろいろな価値観や働き方があるでしょうが、みんなが少しずつ我慢をし、仕事をしながら成長できるといいですね。他人のために役立つ仕事をすることで喜びが得られるともっといいですね。このことを故薄衣会長は「喜働」と表現しました。最近の親子で殺し合う事件の増加に対し、改めて「大人(会社では先輩・上司)自身が、子供(会社では後輩・部下・新人)に誇れるような、自分の人生に対する真摯な態度を取り、倫理感を備える。」ことが必要ですね。
 私たち人間は、多くの直接的あるいは間接的条件の組合せの中に、限られた時間という制約を受けて生きています。私自身仕事を進める中で、論理的・合理的に解決できない問題を常に抱えます。孤立した経営者や社員さんとも関わります。孤立する人を冷静に見ると、その人は自分の家族を含め、他者との交流が上手に持てない傾向が強いのです。乗り越えるには、「自分は本当にこのままでいいのか?」自問し、まず姿勢を正しましょう。「自分は何のために生きているのか」を、少し掘り下げてじっくり考えましょう。その中から「自分はこうやって生きていこう」というものが浮かび上がってくるものです。そうすると具体的な活動にどんどん繋がっていくはずです。理屈から実践へ努力の位置が変化します。
 少し前までの日本は、適当にやっていても何とかなった感がありますが、もうごまかして、片手間で通せる時代ではなくなったと思います。人生において、一時的に意のままにならない、不本意なことが沢山あるのは、当たり前ではないでしょうか。いろいろな能力の差のある私達が、平凡な能力で一所懸命に何かをやろうとし続け、そのプロセスの中で巡り合ったチャンスや条件を活かして生きています。時には、巡り合ったチャンスや条件に気づけずに通り過ぎるでしょうし、気づきながらも見送ることもあります。成功し成長する人は、巡り合ったチャンスや条件を活かし、条件が変われば柔軟に受け入れ、自分を変化させてこれまでと異なる方向に転換していると思います。
 最近、事業継承期のお客様との仕事が多くなっています。その中で感じることですが、人間は実にいろいろな欲望というか欲求があるもので、どうもそれは自然なもののようだということです。事業継承では、地位を得たいと思うような人でなければ、その地位が務まらない場合があるということもあります。
 最後に、大谷光真著「世の中安穏なれ」より、印象に残った表現をお知らせします。
一つの出来事は、様々な原因が集まって成り立っている。単純に二つに分けられない。
仏とは、誓願を立てて、それを実践した人をいう。
「南無」とは、「あなたを信じます」の意味。信頼とは信じて頼ること。
次の時代にいのちを引き継ぐために「生かされている」という実感を受け止めて、日々新しい発見をしながら生きていくことです。

【改善のプロセス:ワンポイント】
①課題(問題)を洗い出す。課題とは、こうありたい姿(目的)と現状とのギャップ。こうありたいと願わなければ、そうはならないもの。
②課題に優先順位をつける。普通の人は一度に一つのことしかできないから。
③解決するための人やグループ(担当は誰か)とスケジュール(何時まで、締切)を明確にする。他人事や無期限では、ことは成就しない。
④そのための習慣として、気づいたことは些細なことでもメモにすべて書きとめる。忘れていては問題は残り続ける。問題に気づいたら言葉に出し、誰かに話をしよう。一緒にやってくれる人がいると、持続力・組織力になる。

[ 更新:2007-10-01 15:37:01 ]

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